梅雨が明けたのか、今週は初夏の香り漂う暑い日が続いた。
すっかり気分が晴れた。なんと単純な。自然の中で暮らしていると、影響される事が多くなるんだろうか。
天気一つで表情ががらっと変化する糸島の風景が、日に日に愛おしくなってくると同時に、市民として自然環境に対する意識も日々高まってくる。
街の至るところでそれを意識するメッセージを目にするというのも大きいし、なによりエコタウンとしての取り組みは市民の生活レベルでも毎週末のようにあちこちで行われていて、結束力の強い土地だなぁと感じる。
ちなみに糸島市は、環境分野の政策として以下を掲げている。
(施策)環境都市宣言を行い、バイオマスや水素エネルギーなどの活用による自然環境に負荷の少ないエコタウンをめざします。
【主な事業計画】
・環境基本計画および温暖化防止計画策定事
・環境イベントの開催~環境保全活動を推進するためのPR活動
・バイオマスタウン構想策定事業
・『水素エネルギー製品研究試験センター』支援事業~PR活動や関連企業への誘致活動
・給食残 のたい肥化実証試験
・生ごみゼロ大作戦~講習会や出前講座などで段ボールコンポストの普及やごみの分別を周知
(施策)市民と一体になって「森づくり」や「里の保全」活動、「海岸線の美化・保全」活動を推進します。
【主な事業計画】
・広葉樹林化事業~広葉樹林化用地を取得し、森林ボランティアなどと協力し植樹推進
・竹林整備事業~竹林のオーナー制度と併せてシイタケ栽培を行い、竹林景観の保全推進
・「海の日」漁港・海岸クリーンアップ事業
・環境パトロール事業~パトロールを強化し、不法投棄削減
・環境ボランティア育成事業~登録制度などによる活動の拡大
上記の太字3つの環境問題への取り組みの中で生まれたのが、地球資源「竹林」を活かし「生ゴミ」をゼロに、且つ「堆肥化」して土壌にエネルギーを返すという循環を作りだす商品「竹パウダー」というわけ。地球資源の利活用とビジネス、この両立に挑む民間企業は、蓄積された技術・知恵を振り絞ってここぞとばかりに奮闘する。
竹をナノレベルまで細かくせよ。
この命題に対して、はたして今日本中で何人の人が挑戦をし実現する事が出来るのだろう。
今日は、この命題に挑む1人の実践者である、ご近所の
職人科学博士系経営者Tさんのところで、小一時間の科学講習を受けてきた。
右側が八起産業さんの竹パウダー。この粒子の細かさといったら・・・明らか。
繊維が入ったままの状態では、発酵に時間がかかり、即効性は見込めない。
Tさん自作の機械+数々の試行錯誤を重ねて改良の続けられた製造プロセス+職人技術で竹の持つ潜在力を極限まで開花させる商品が仕上がっている。
どうやってここまでたどり着いたのかを延々とお話くださったのだが、そのサイエンスナレッジと発想と技術と観察力、そして粘り強い改善マインド。なんだか「日本」という国の強さを拝見させて頂いた気がする。
竹をどういう角度で裁断するかによっても全く粒が変わってくるのだとか。竹の繊維の方向まで考慮し試行錯誤を重ねた結果。マニアックな人だ。
Scientistは命題に対する答えを追い続けるが、正解に近付ける人というのはやはり共通点がある気がする。運とセンスは当たり前。その上で、地道な日々の実証実験、肉体労働を愚直に継続出来るかどうか。結局はそういう資質がなければいくらいいアイデアがあっても、realなものには出来ないのだと思う。分子生物学のspecialist,ノーベル生理学医学賞を受賞した利根川進さんの本を読んでいて感じた事と、全く同じ種の敬意の念が、Tさんを見ていると湧いてくる。
Tさん自作の、まだ実験段階にある農業栽培ゴンドラも見学させていただいた。

水自動噴射機つき、自家発電エンジンパワー、育成促進LEDライトつき、効率性を追求した結果、収穫率は通常の農業の5倍だとか。1つ1つのパーツの設計の背景を聞いていると、なんともscientificな解説で、化学や物理学の授業を受けているかのような気分だった。
いかに農業で利益を出すのが大変かというのは実感ベースで以前も記したが、自身の少ない経験でも痛感するが故に、目の前にあるゴンドラはまさに魔法の機械のように見えた。
土を触り腰を曲げる農業スキルがいらない栽培方法で、大地との繋がりは薄れるため、現役農家の方々にはあまり馴染まないだろうが、収益ビジネスとして農業に参入しようとするNew typeの人々にとっては必要不可欠なはず。東京でも実例が増えてきた水耕栽培倉庫のように、スペース・時間を短縮出来る低コストのsystematicな装置は、今後色んな形で世に広がっていくだろうな。
色々とガーデニングにアドバイスを頂いただけでなく、Tさんの奥様にコーヒーの木の苗まで頂いてしまった。
(すっかりこの鉢も竹パウダーをふんだんに撒いた土で覆われている。)
コーヒーは、4~5年かけて、2mくらいの木に成長し、白い花を咲かせ赤い実を沢山つけて、その中に豆が2つ入っているのだって。長期戦だが、育てたい!と言ったら、親木の実から発芽して苗となったものを1つ譲って頂いた。実が成りますように。
今日は色々と驚く事ばかりであっという間に時間が過ぎてしまった。この1コマも、世界中に共通する課題に対して、糸島という土地の資源と知が問題解決の1歩に向けて「価値」を生み出している瞬間なんだと思うと、資本主義のbright sideを自分に納得させる事が出来る。無駄のないsustainable。博士の思考を多くの人に知ってほしいと思う。
一歩一歩、私に出来る事で、身近な人の為になる事をやっていきたい。
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