以前、龍国禅寺という糸島のお寺に出向いて見つけたイベント、
日本の伝統芸能舞台の新しい革命児として海外でも活躍する「和力」という3人組の舞台、「田んぼコンサート 和民のうた」に、糸島で知り合ったIさんとその娘さんと行ってきた。
毎年、収穫祭として大地の恵みに感謝するイベントと言う事で、お互い顔見知りの地元の方が老若男女集っていた。新参者の私も、少しづつ、地域のクラフトワークのお店や、自然農農家の方など、どこかで接点のある方との再会が、こういう場所で自然に出来るようになってくる。狭い世界、逃げられない密度の濃い人間関係。以前は想像出来なかったが、すっかり楽しめるようになってきている。
以前、伊都安蔵里でお会いしてお話した、二丈町の自然農塾の卒業生である、自然農農家の方々が野菜を売っていた。
相変わらず元気な野菜達。ニラやサラダカボチャ、白なす、ムカゴなどを購入。
コンサートまで2時間ほど空き時間があったので、糸島の美味しいマクロビ弁当とトン汁でお昼ご飯。
いよいよ舞台本番。仏壇の前の舞台を囲むようにして、150名位の方が正座をして座り、、、
「和力」の現代版伝統芸能舞台は始まった。
実演中の写真は禁止だったのでお伝え出来ないのが残念だが、、、、
津軽三味線に、太鼓、そして和笛、これらの楽器のコラボや、獅子舞や、鬼の舞。総勢3名のtalentが、見事に調和して、素晴らしい空間を作る。プログラムの緩急や登場するキャラクターの入れ替わりが、2時間ちょっとの間、観客の目を離さない。
和の伝統芸能に、現代風の感性が加わる。そう表現してしまうといまいちピンとこないが、、、
楽器演奏で言えば、西洋音楽の音階とはかけ離れた日本独特の音階を保ちながらも、リズムやテンポ、メロディーの作り方に様々な国の音楽が混ざっている。ん?jazz?rock? trance? といった不思議なジャンルの音楽が出来上がっていた。特に津軽三味線のデュエットはロックギターかバイオリン協奏か、と勘違いしてしまうような非常に幅の広い力強い音を出していて、正直度肝を抜かれた。カッコいい。
座長の加藤木氏は、お笑い芸人かと思う位トークで観客を楽しませてくれ、独楽回しや獅子舞、鬼の舞の独特なウィットに富んだ動きで、会場をどっと沸かせていた。笑いっぱなし。
ご本人は普段、長野県の農村で農作業をやりながら暮らしているとか。田んぼの中での動きが、「舞い」の振り付けの発想の元だという。鬼の舞の地面を踏みつけるようなしぐさや、畳をするすり足などは、農業の実践の中で自然と出てくる動きだそうなのだ。そう、もともと農耕民族としての自然な動きが日本で踊られる舞の骨格となってきているのだから、受け継いでゆく者も、やはり農耕民族としての日常を「芸のこやし」にしている。本物だ。
深く知らなかった獅子舞の本当の意味や、日本に古くから伝わる祭りや、その出囃子の意味、そして和楽器の音の出し方や、可能性や魅力。色んな事を教わり、なにより「日本伝統芸能文化」の革新に出会えたその瞬間、改めて「伝統」について、「継承」について、考えるきっかけを頂けた。こんな素晴らしい舞台アーティストを寺に呼んじゃうなんて、センスのいい和尚さんだ。
【和力 とは】
和力の舞台は、昔からある芸能を舞台芸能に創造していくことが根幹になっております。
昔からあるものといっても、最初から形のあるものはありません。
素になる想いや願いがあり、しだいに現在のこっている伝統芸能ができあがったのです。
無理と無駄を省き、切磋琢磨の手法を伝えて来たものを、伝統と呼びます。
伝統とは「これをどう使うのが良かったか」という経験と技術の継承がまずあり、
さらに「おまえはそれを、どう使い生かすか」そして、
そこから「なにをうみ出すか」を常に問い続ける存在です。
和力は、固定された集団ではありません。
自分の世界をうみ出す者が、独りでは出てこないものを追い求め、
互いに影響し合いながら創り出していく、空間と時間の名前です。
http://www.wariki.org/whats_is_wariki.html
こういうものに沢山触れて、自分の仕事や在り方を見つめ直しながら、欠けている「和の心」を養いたいもんです。
興味深いレポート。というか、西洋音楽のキャリアが長い君も、和の音楽などにそうやって反応出来るnだねぇ。
「和力」の言葉は、どんな集団にでも当てはまると思う。仕事も家庭も、そういう空間と時間なんだろう。
投稿情報: naoki | 2010/11/05 20:15
naochan
和の良さを噛みしめ時なんです。
こういう言葉を聞くと、日本人の「和」の精神というのは大切なモノだなと改めて思います。
現代での調和というのは、やはり和力さんの言うように
個人個人が「お前は何を生み出すのか」というのを突き詰めて個が自律的に強くなるのが大前提、これが本質だと思う。
家族経営でもこれは当てはまるし、家庭でも企業組織でも地域共同体でも同じ事を感じる。
投稿情報: Sumeba-Miyako | 2010/11/08 14:47